2015年 06月 21日
漆黒の貴婦人 |
『漆黒の貴婦人と冷笑する男』
沈みゆく夕陽に照らされた私を双の瞳に映し、
「水も滴るいい女だ」と微笑んだ貴方。
--「なぜ、泣いているの?」
そう訊こうとしたけれど、私の声は、貴方に
届かない。たとえ、貴方が私を感じることが
できたとしても、言葉の意味までは理解できない
でしょう。
やがて、空模様は妖しくなってきて、街は暴風雨に
呑まれてゆく。その様子を見て、貴方は「キミは、
本当に美しいよ・・・まさに神が与えた美だ。いや、
悪魔の力が創造したものかも知れない」と冷笑する。
-―「人間如きが私に生を与えたのは、罪よ」
そうやって、私は言葉を発したつもりなのに
気づいたら、溢れんばかりの人の嘆きと悲しみを
生み出していた。
それでも、なお、貴方は私がもたらす悲劇の舞台を
瞳に映して囁き続ける。
「これは、夢か? 幻か? 我々が世界を動かすために
必要な存在・・・な? そうだろう? カトリーヌ」
そう。私は、人の手によって造られし存在・・・
沈みゆく夕陽に照らされた私を双の瞳に映し、
「水も滴るいい女だ」と微笑んだ貴方。
--「なぜ、泣いているの?」
そう訊こうとしたけれど、私の声は、貴方に
届かない。たとえ、貴方が私を感じることが
できたとしても、言葉の意味までは理解できない
でしょう。
やがて、空模様は妖しくなってきて、街は暴風雨に
呑まれてゆく。その様子を見て、貴方は「キミは、
本当に美しいよ・・・まさに神が与えた美だ。いや、
悪魔の力が創造したものかも知れない」と冷笑する。
-―「人間如きが私に生を与えたのは、罪よ」
そうやって、私は言葉を発したつもりなのに
気づいたら、溢れんばかりの人の嘆きと悲しみを
生み出していた。
それでも、なお、貴方は私がもたらす悲劇の舞台を
瞳に映して囁き続ける。
「これは、夢か? 幻か? 我々が世界を動かすために
必要な存在・・・な? そうだろう? カトリーヌ」
そう。私は、人の手によって造られし存在・・・
by yunerian
| 2015-06-21 22:53
| 創作作品
|
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